20代の働き方を考える1冊 「トップ1%に上り詰めたいなら、20代は“残業”するな」
トップ1%に上り詰めたいなら、20代は“残業”するな 山口周【著】
今回は20代の人たちが参考になりそうな1冊を紹介したい。
それが「トップ1%に上り詰めたいなら、20代は“残業”するな」である。
最近のビジネス書によくありそうな挑戦的なタイトルだ。
敬遠される人も多いかもしれないが、一読の価値あり。
●残業について考える
サラリーマンにとって切っても切り離せないのが「残業」だ。
サラリーマンならだれもが一度は必ず経験したことがあるはずである。
この就業時間を過ぎても仕事をすることについて考えたことはあるだろうか?
何の疑いもなく取り組んでいる人が多いかもしれない。
私もその一人であった。
それどころか、社会人になりたての頃は残業100時間などという法外な労働に身を投じていたこともある。
人間怖いもので慣れてくるとそれが当たり前となっていく。
ところがある日ふとこんなことを思った。
「本当にこの残業は必要なのだろうか?」
「こんなに働き続けた先に何があるのだろうか?」
この疑問は日に日に大きくなっていき不安感に苛まれた。
そして考え抜いた結果導き出した答えは・・・ほとんどの残業は不必要ということである。
もちろん、会社や職場環境、業務内容によって残業の在り方は異なると思う。
だが残業するのが当たり前と思っている人も一度立ち止まって考えてみてもらいたい。
●タイトルの真意
さて本書、なかなかパンチの効いたタイトルである。
私も書店で見つけたときは輝いて見えた。
だがここで注意点を提示しておきたい。
それは「タイトルと内容は必ずしも一致しているとは限らない」ということ。
これは今まで100冊以上自己啓発書やビジネス書を読んできた経験から言えることである。
なのでこのタイトル通りに受け取ってはいけない。
著者の主張を要約するとこうだ。
- 残業に逃げるな
- 努力ではなく成果にこだわれ
これを念頭に置いたうえで読み進めていくのがポイントとなる。
●残業はラク?
著者は残業に逃げず、結果にこだわれと主張した。
これには私も勇気づけられた。
というのも私の新入社員時代の残業観は「残業=頑張っている」というものだったからである。
否、それどころか「残業は努力の証!」、「長時間労働は正義!」なんて方向にひた走っていた。
思い返してみても残業が多かったのは業務量が多いせいもあるが、大部分は「上司より先に帰りづらい」とか「周りの目が気になって帰れない」といったものだ。
そしてそれが慢性化してしまうと考えることをやめてしまう。
どうせ今日も帰れないからと、本当はもっと早く終わらせれる仕事ものんべんだらりとやってしまい、言われたことをただやるだけとなる。
著者はここに警鐘を鳴らしているのだ。
成果が上げられないからと、残業して頑張っているのを装ってごまかそうとするのは良くない。
とは言え私がそういうタイプだったので耳が痛い。
●残業しないのはいばらの道。だけど・・・
著者の言いたいことはよくわかった。
だが実行するのは容易なことではない。
残業せずに帰るのはリスクもある。
成果が出ていなければ「早く帰るくせに仕事できないじゃん」とか何かミスがあれば「帰るの早いけど適当な奴」なんてことを言われかねない。
様々なプレッシャーがかかるのだ。
しかしここが踏ん張りどころ。
ラクだからと安易に残業に逃げて、何も考えずに仕事をしていては貴重な時間がもったいない。
知恵を絞りいかにして時間内に業務を終え、成果を上げるかに注力するか。
本書はそんなとき背中を押してくれるだろう。