凡人上等!!だって「やり抜く力」が残されてるから
やり抜く力 アンジェラ・ダックワース【著】
本書を何回か読んで、これは大変興味深いテーマであると感じた。
それに、私がこれまでの人生で何度か考えてきたことでもあった。
様々な分野で活躍している人たちを見ると何を思うだろうか。
「あの人は才能があるから成功できた。」
「自分には才能がないから無理だ。」
その圧倒的な実績や才能を見てこう感じてしまうかもしれない。
私は それと同時に「この人たちと自分との具体的な差は何だろうか」と疑問に思っていた。
そんな私に大事なヒントを与えてくれたのが本書なのだ。
そのヒントと率直な感想を綴っていきたい。
●著者について
本書の著者アンジェラ・ダックワースさんはペンシルベニア大学の心理学教授である。
ハーバード大学を卒業後、オックスフォード大学で修士号を獲得。
その後、マッキンゼーで経営コンサルタント職を経て公立中学の数学教員になる。
そこからペンシルベニア大学大学院で博士号(心理学)を取得し、心理学者になった 。
そして2013年にはマッカーサー賞、別名「天才賞」を受賞するに至る。
私のような一般人からすれば超ド級の才能にまみれた人にしか思えない。
しかし、そんな彼女は「才能よりも努力の方が重要」というスタンスで話を進めてくれる。
●「やり抜く力」とは何か?
この本書のタイトルにもなっている「やり抜く力」とは何か。
それは「情熱+粘り強さ」のことである。
そしてこのやり抜く力は才能にも勝るというのだ。
さらに朗報なのがこの力は工夫次第で誰でも伸ばすことができる。
その考え方や実践法、事例が本書には詰まっているのだ。
●才能か努力か
何か成果を上げたり、成功したりするためには「才能か努力か」の論争が起こる。
これは、人生のどこかで向き合い、そして真剣に考える価値のある問題だと思う。
その答えになりそうなのがこの「やり抜く力」である。
著者は才能よりもやり抜く力が重要だという考えを頑なに曲げない。
やはり様々な分野の人にインタビューしたり、たくさんの研究をしたことで得た結果なので自信を持っているのだろう。
これが本当なら凡人代表であり、凡人ど真ん中の私にとってはこれほどの吉報はない。
ところが、「そうは言ってもね・・・・」と思ってしまうのが凡人の性である。
しかしここが大事なポイントだ。
本書で述べられているが、偉大な実績を残した人を見ると多くの人は「才能があったんだ」で片づけてしまう。
それはそのほうが「ラク」だからであり、自分が努力しない言い訳材料にもなる。
だが思い返してもらいたいのが、周囲から天才と称されている人たちはよく「自分は天才じゃない」と言っていないだろうか。
あれは嫌味や謙遜ではなく、本心だと思う。
きっとその人たちは日々努力していたはずだ。
そして私たちは、正しい努力の仕方や継続する方法を知らなかっただけなのかもしれない。
おっとそう言えば、かの有名はアインシュタインはこんな言葉を残している。
天才とは努力する凡才のことである。
●「何でも頑張る=努力」ではない
努力が重要ということは分かる。
しかし、何でもかんでも闇雲に頑張ればいいというものではない。
部活動でよくありがちな気合や根性に任せたがむしゃらな練習ではなく、きちんと考え抜かれた練習だ。
これは「意図的な練習」と紹介されている。
それぞれの分野で一流と称される人はこれを意識しているという。
その「意図的な練習」の条件とはこういうものだ。
- 明確に定義されたストレッチ目標
- 完全な集中と努力
- すみやかで有益なフィードバック
- たゆまぬ反省と改良
言われてみれば「まあ、そりゃそうだろ」感じるが、これ超重要である。
私がスポーツに明け暮れていたときの話になるが、1年間の休みなど10回もないくらいで、朝から晩まで馬鹿みたいに練習していた。
しかし、一向に強くならない時期を迎えた。
最大の理由は後で述べるが、上記の4点が何一つなされていない練習をしていたからだと断言できる。
しっかり考え抜かれた練習をすることで、成果を上げやすくなる。
そうすれば継続して努力したくなる。
意図的な練習によりやり抜く力の要素である、情熱と粘り強さを育むことができる。
●興味が土台
「好きこそものの上手なれ」という言葉がある。
これは私の好きな言葉でもある。
改めてネットで調べてみて、その内容を丸パクリで書かしてもらうが、「誰でも好きなことは熱心になるし、工夫を凝らすので上達が早い」という意味。
先ほどのスポーツの経験からであるが、私が完全に上達がストップしてしまったのはその競技に全く興味がなくなってしまったからだ。
こうなるともう気合や根性ではどうにもならない。
いかに興味を失わないか、そして教える側なら以下に興味を持たせるか。
ここがやり抜く力を左右する重要なポイントとなる。
●別に超一流になれなくてもいい
さて、本書を読んで情熱をもって粘り強く物事を継続することの重要性は分かった。
これからは学んだことをしっかり活かしていく所存だ。
最後に私の率直な感想を書いて終わろうと思う。
それは、別に超一流になれなくてもいいということ。
「おい、この本の内容ちゃんと理解できてんのか?」
著者にこう怒られそうだ。
しかし、歴史に名を刻めなくても、大偉業を為せなくてもそれは全く問題ないと思う。
正直、読後も私は天才は確実に存在すると思うし、才能も否定しない。
今日まで平々凡々なサラリーマンをしてきた私がやり抜く力を最大限に発揮しても、力士になって横綱になることは不可能だし、楽曲を製作してカリスマ的存在になることも不可能だし、学問を追及してノーベル賞を受賞することも不可能だ。
だからといって何一つ悲観することはない。
否、むしろ希望の方が大きい。
今から自分の好きなことを情熱をもって粘り強く取り組めばいいだけのことだ。
そうすれば、今後の人生はきっと充実したものになる。
つまり、やり抜く力とはこれまで特に力を発揮できなかった凡人がこれから楽しく生きていくための最終奥義だと私は結論付けた。
才能がないから、超一流になれないから・・・・なんていじけてないる場合ではない。
今からでもできることはきっとある。