怠け者だから続く⁉ 「ゆるくても続く 知の整理術」
ゆるくても続く 知の整理術 pha【著】
「なんとなく楽しんでいるやつが一番強い」
これは著者が一番伝えたいことだと言う。
私自身、本書の中でもかなり気に入っているフレーズだ。
しかも、勉強を楽しんでやろうというのだから興味深い。
勉強とは多くの人にとっては苦行である。
この著者のpha(ファ)という何とも脱力した名前の人物は、京大卒という高学歴。
「いやいや、そんな人もともと勉強できたんでしょ。」と思われるかもしれない。
たしかに、学歴だけ見れば相当なエリートであるが、この男は心配になるくらいの怠け者だ。
しかし、工夫を凝らし勉強を続けてきた。
これには、「楽しむ」という感覚が不可欠だという。
血の滲むような努力も大切だが、楽しむことも同等以上に大切だ。
「継続は力なり」の根底には楽しむことは必須条件である。
本書ではその楽しみながら勉強を続ける方法を公開している。
●勉強の種類
まず、読んでいて思ったのは勉強と言っても種類があるということだ。
一つは試験勉強や受験、資格試験の勉強みたいな超ガチなやつ。
もう一つは自分の興味があることだったり、好きなことの勉強である。
本書で語られるのは後者だと感じた。
新しい知識を得たり、深めたりして人生に活かして楽しむ。
著者は言う。
「知識は人を自由にする」
そのような勉強をどのように継続するかの指南書とも言える。
●記憶を強める
勉強の方法には王道がある。
それは「書いて覚える」というものだ。
よほどの天才でない限り、一発で知識を記憶することは難しい。
よって何度も繰り返し書いて、その書いた紙をまた何度も見返す。
泥臭いようだが、これが勉強の基本中の基本である。
●勉強を楽しむテクニック
ただ、書いて覚えろと言われてもきっと納得できなはずだ。
ここでちょっとしたテクニックを取り入れてみる。
私がこれはぜひやってみて良かったものをご紹介したい。
①時間の制限を与えゲーム感覚でやってみる
時間の制限を与えることもメリットは半端ではない。
やはり人間は無尽蔵に時間があればだらけてしまうものだ。
それに集中力というのはそんなに長くは続かない。
しかし、時間に制限があれば緊張感も生まれ、集中力が増す。
そこに、ゲーム感覚を加えるのがさらに効率を上げる。
例えば通勤電車の中で何ページ本が読めるかとか、飲食店でメニューが出てくるまでに何問解けるかみたいな感じに。
②行動にも制限を与える
いざ勉強しようとしても家だとやる気が出ないという人もいるはず。
そんなときはカフェや喫茶店でやってみるというのがいい。
これがなぜ大切かというと行動に制限を与えるからである。
家だと寝てしまったり、テレビを観てしまったりなど妨害が多いが、外ではなかなかそれができない。
もはや勉強しかすることがないという状態にもっていくことが可能となる。
しかし、ここで私は注意していることがある。
それは「落ち着いた空間に身を置く」というものだ。
正直、安いカフェなどは人が多く、マナーの悪い人などにも遭遇しやすい。
これでは勉強どころではなくなってしまう。
そこで、少々値段は高くても落ち着ける場所でやるようにしている。
最近、同じ職場の人から隠れ家的な喫茶店を教えてもらい、そこが心底気に入ってしまった。
③常に変化を加える
人間は同じことを繰り返しやっていると慣れてきて、飽きたりするものだ。
飽きた状態でダラダラやっていると新鮮味や感動がなく、楽しんで続けることができない。
そこで、常に新しい刺激を加えるのがポイントとなる。
これは筋トレに酷似している。
毎回、同じ回数や重量、動きではなかなか筋肉は成長しない。
そのため、メニューを変えたり、負荷を変えたりして新しい刺激を入れる。
勉強も同じで、繰り返しやるのは重要だが、なんだか面白味がなく退屈になってきたら他のテキストを読んでみたりとか変化させてみるのが良い。
私は囲碁の勉強でこれを実感している。
詰碁という王道の勉強法があり、これも繰り返し何度も解くことが推奨される。
だがやっぱり、同じ問題集を何度もやっていると完全に飽きが来る。
すると勉強の効果が全く実感できなくなる。
そんな時に全然違う勉強をしてみたり、違う問題集を解いてみるとなんだか新鮮な感じがして楽しく継続できるのだ。
このように、「繰り返し」という王道をやりつつも変化を加えるのがコツだと言える。
●最高の勉強はアウトプット
知識を自分のものにするために最も重要なことは何か。
それは、アウトプットすることである。
しっかり勉強して、そのあとアウトプットすることで記憶にも定着しやすい。
例えば、勉強した内容を人に話したり、教えたりするのもかなり有効だ。
その中でもやっぱり最高だと思うのはブログである。
このように読んだ内容を自分なりに咀嚼し、文章にするのはインプットとアウトプットをセットで行うことができる。
まさに一石二鳥だ。
他にもTwitterなどの文字制限があるものは要約力を鍛える訓練にもなるので、併せてやってみると良いかもしれない。
私としては、ブログがお勧めだけど。
●文章を書くちょっとしたワザ
文章を書くのが得意と言う人はめったにいない。
多くの人が苦手意識を持っている。
ブログを書くのが良いと言っておきながら、私もその一人だ。
読んでもらえればわかるが、要約力も文章力も地に堕ちている。
これでも、ノートを取りながら何度も書き直すなどの血の滲むような努力をしているのだが( ;∀;)
そんな人たちのために裏技がある。
それは「パクる」というものだ。
「は?」と憤慨したり、なんだか抵抗を持たれるかもしれないが、パクることは最高の文章力向上法とも言える。
例えば、バンドを始めたとしていきなりオリジナルソングを作るのは難しいはずだ。
そこで、コピーバンドをやったりする感覚に似ている。
また、スポーツでも強い選手のフォームを真似たりするといった感じである。
文章も同様に、好きな作家や身近で文章が上手いなと思える人のか書き方をパクる。
パクったとしても、自分なりの表現出たりする。
盗作などはいけないが、練習としては素晴らしいものではないだろうか。
●勉強は人生を豊かにする
勉強というのは、ほとんどの人にとっては大変なものという認識ではあるが、人生を楽しんだり、生き方の幅を広げる可能性を秘めている。
それに、今までは気付いていなかっただけなのかもしれない。
著者のような高学歴な人はその楽しむ方法やコツを子供の頃につかんでいた人だと感じた。
「勉強=つまらない」という考えから脱却するためにも本書を紐解いてみてはいかがだろうか。