運動しなきゃいけないなと思ってる人はまず「一流の頭脳」を読んでほしい
一流の頭脳 アンダース・ハンセン【著】
社会人になると学生時代に比べ運動する機会がめっきり減ってくる。
私も高校生まではスポーツをやっていたが、それ以降全くと言っていいほど運動からは遠ざかっていた。
「これはまずい」と思い、現在は週2回程度だが筋トレをしている。
さらにはそれに加え、ランニングまで始めた。
その理由は今回紹介する本を読んでもらえればわかるはずだ。
●素晴らしき運動の効力
「ストレスに強くなる」
「不安感が軽減する」
「集中力が増す」
「記憶力がUPする」
これらのことがお金や時間をあまりかけず、可能になる方法がある。
と聞いたら何を思うだろうか。
きっと「胡散臭い」「怪しい薬とかサプリメントか?」と疑ってしまうだろう。
だが安心してほしい。そういったものではない。
それはなにかと言うと「運動」である。
意外に思われるかもしれないが、様々な研究からこのような効果があると実証されている。
●最強脳内物質「BDNF」
では、運動することの何が良いのだろうか?
体を動かし、心拍数を上げたりすることで「セロトニン」「ノルアドレナリン」「ドーパミン」といったものが分泌される。
どのような作用があるかと言うと、
このように素晴らしい働きをしてくれる。
中でも本書で「最強脳内物質」として紹介されているのがBDNFである。
BDNF(脳由来神経栄養因子)とは大脳皮質(脳の外層部)や海馬で合成されるタンパク質。
この脳内物質が我々にとんでもない恩恵をもたらしてくれる。
- 脳細胞がほかの物質によって傷ついたり死んだりしないように保護
- 新たに生まれた細胞を助け、初期段階にある細胞の生存や成長を促す
- 脳の細胞間のつながりを強化し、学習や記憶の力を高める。 などなど・・・
まさに万能薬のようだ。
この最強脳内物質を分泌させるのが運動なのである。
●どのような運動が効果的か?
運動することが良いことは分かったが、具体的に何をするのが効果的なのだろうか?
本書でおすすめしているのは有酸素運動である。
ジョギング、ランニング、ウォーキングといったものだ。
そして大事なのはその頻度。
ランニングを週に3回、1回に付き30分程度を継続していけば先ほどの、BDNFなどが体内で生成されるというのだ。
つまり、毎日ハードな運動をしなくても大丈夫なのである。
もちろんいきなりランニングが難しければウォーキングでもかまわない。(ランニングのほうが高い効果が期待できる)
とにかく体を動かすことが重要なのだ。
●「学力」と「体力」
運動して体力や筋肉をつけるのは、健康において欠かせないことである。
しかし、運動の効力はそれだけにとどまらない。
なんと脳機能まで向上させてしまうのだ。
人間の脳の海馬は年齢を重ねるにつれ縮んでいき、1年で約1%ずつ小さくなっていく
という。
記憶力が加齢により低下するのはこういったことが原因のようだ。
ここで面白い実験がある。
アメリカの研究チームが120名を対象に、持久力系トレーニングをするグループと心拍数の上がらない軽いエクササイズ(ストレッチなど)をするグループに分け、1年後のどうなったか調査した。
すると、持久力系トレーニングのグループのほうが健康状態が良くなっていたのだ。
これだけでは驚かないと思う。興味深いのはここから。
軽いエクササイズのグループは海馬が1.4%縮んでいたのに対し、持久力系トレーニングのグループは海馬が2%以上も大きくなっていたのだ。
「で、持久力系トレーニングってなんだよ」
ここが気になってくるはずだ。
この答えは・・・週に3回、40分、早足で歩いただけ
拍子抜けするかもしれないが、これだけでも十分効果があることが証明されたのだ。
また学業においても体力のある子どものほうが、成績が優秀だという統計もある。
他にもスウェーデンの軍の入隊検査で26年以上にわたって、120万人以上の18歳の男子を対象にした研究では、体力テストの成績が良かった新兵は、知能指数のテストも優秀であったという結果が導き出された。
その他の実験でも脳への好影響が報告されている。
「運動すれば頭がよくなる」と決めつけるのは強引かもしれないが、少なくとも適度な運動はメリットが計り知れない。
●最後に
運動というのはやらなきゃいけないと分かっていても、なかなか着手できないことの1つだと思う。
だから、本書を読んでその素晴らしさを知り、ぜひ試してもらいたい。